下郡温泉

大人ってなんだ？

成人式のあり方が論じられている中、ぼくは下郡温泉の茶色いお湯につかりながら１日が終わるのを眺めてました。この温泉は比較的小さくて、長方形の湯船には大人４人が並んで入るのがやっとです。夕方のこの時間はいちばん混む時間帯で、湯船には既にすりこぎいっぱい、４人の人が入っていました。長方形の湯船に４人入るとき、誰が始めたのかわからないけれど、なぜだか互い違いになって入ります。したがって必然的にお互いの目が合ってしまうので、みんな目をつぶっているのです。人が多いとお湯の温度が低くなります。ぼくはまだ十分にあったまってはいなかったけど、混んできたので早めにお湯からあがることにしました。

ところで、今日ぼくは大人について考えていたのでした。
「大人ってなんだろう？」
それは考えれば考えるほど難しい問題で、誰もその答えを知らないのかもしれませんが、実はそのことを解き明かすヒントがこの温泉にあったのです。それは脱衣場の壁に張ってある料金表でした。そこにはこう書いてあるのです。

『大人３００円。中人１４０円。小人７０円。』

この場合、大人とは中学生以上をさします。そして中人とは小学生、小人はそれ未満の子供のことなのです。つまり温泉の世界では中学生以上はみんな大人と言うことなのです。なんて解りやすいんだろう。ぼくは頭のなかのモヤモヤが一気に吹っ飛んだ感じでした。
「なあんだ。そうだったのか。」
そうです。これからはこれで行きましょう。中学生以上はみんな大人なのです。中高生の皆さん。世間で子供扱いされてちょっと納得がいかない時には、温泉に来るといいですよ。温泉はいつでも君を一人前の大人として迎えてくれるのですから。